生兵法はけがのもと

マーク・ボウニー

「生兵法はけがのもと」という諺があります。ジョーティシュほどこの諺があてはまる分野はありません。

ジョーティシュを習いたての人がいるとします。彼に、まず惑星の減衰について説明します。次に彼のチャートを見せて、彼がまもなく減衰する惑星のマハー・ダシャーをむかえ、それが10年以上続くことになると告げて下さい。彼は間違いなく滅入ってしまうでしょう。
実際これは、親戚筋にあたる西洋占星術やいわゆる「憂鬱占星術」にとっぷり塩漬けにされたクライアントからジョーティシュに向けられる主な非難の中身です。

脚色され、ときにドラマチックともいえるほど誇張されたことばをジョーティシュにおいて用いることの効果を否定はしません。しかし、「不吉な凶星」「傷つ いている」「減衰している」「壊されている」「焼かれている」「大敵である」「キラー」「凶ハウス」「蛇のドレッカナ」などのことばを聞いて、ぞっとしな い人がいるとしたら不思議です。とくに女性には、「7ハウスが6重に『傷ついている』から薄幸である」と言われるよりも、そういったことを忘れさせてくれ る方がよほど親切というものです。

しかし劣った占星術家はこういうときにどうするのでしょうか?鬱病の10大要因に対して、抗鬱剤を処方せずに占星術的にどのような処方が可能なのでしょうか?それは、占星術家のジレンマでもあります。

私の師であるシュリKNラオは、「暗闇の中にかすかな光明を見いだす方法を身につけなさい」といいます。そして、「占星術家ほど人の心を弄ぶことができる 存在はいない」と彼が言うのを聞いたことがあります。占星術家が、ホロスコープをさっと見ただけで重大なお告げをつげるときなどがまさにそうです。そうだ からこそ、シュリKNラオはいつも、手を抜かず真剣にホロスコープと向き合い、相手を深く理解しようと努力すべきであると言っているのです。ホロスコープ に見られるすべての徴候には吉凶両方の意味が含まれています。そうだからこそ、大胆な判定を下す前にバランスよくホロスコープを見る必要があり、その力量 が占星術家に問われるのです。
S.Shimizu
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