シュリKNラオ方式: ①静的分析としてのPAC-DARES

清水俊介が書きます。

シュリKNラオ方式といえばPAC-DARESが有名です。これは大変すぐれたガイドラインです。PACで惑星・サイン・ハウスがどのように絡みあっているかを把握し、その上で、その絡みのなかでどのようなヨーガが形成されているのかをDARESで把握します。そして、このガイドラインの真骨頂はDARESに あります。千を越えるヨーガのなかで特に重要なものを厳選し、それらに鑑定者をフォーカスさせます。これは、ヨーガという樹海のなかで進むべき道を見失い がちなジョーティシュの学習者・鑑定者にとって道しるべの役割を果たします。そして、大いなる安堵感と勇気を与えてくれます。このPAC-DARESが日本に普及することで、ジョーティシュがより身近なものとなり、多くの人がインド5000年の叡智に触れ、その恩恵に安心して浴すことができるようになりました。
PAC-DARES"Learn Hindu Astrology Easily" (by K.N.Rao)において詳しく紹介されています。日本語訳は、インド占星塾から『ラオ先生のやさしいインド占星術─入門編─』というタイトルで出版されています。

しかし、PAC-DARESはまだジョーティシュという大海の入り口にしか過ぎません。ジョーティシュの鑑定過程は、大きく静的分析動的分析の二段構えになっています。ホロコープに何(What)が約束されているかを分析するのが静的分析(Static Analysis)です。それがいつ(When)現象化するのかを分析するのが動的分析(Dynamic Analysis)です。PAC-DARESは第一段階の静的分析にしか過ぎません。しかも、初学者のためにということで静的分析の過程をかなり大胆に簡略化しています。さらにその後には、第二段階の動的分析、すなわちダシャーとトランジット(アシュタカヴァルガを含む)によるプレディクティブな分析が控えています。ですからPAC-DARESだけでは鑑定は完結しませんし、これだけをもってKNラオ方式というのは実は無理があります。

実際、PAC-DARESをはじめとする静的分析の手法に比べて、動的分析の手法はまだあまり日本に紹介されていません。ホームページなどで紹介されている実占例を見ると、ダシャーを使った分析はよく見かけることがありますが、トランジットによる分析は、ダブル・トランジットが一部使われることがあるだけで、ほとんど皆無のように思えます。動的分析技法(プレディクティブ・メソッド)の本格導入が急務とされています。

そこで動的分析に関して参考となると思われるシュリKNラオの図書を紹介します。

筆頭にくるのは、"Astrology, Destiny and the Wheel of Time " (by K.N.Rao)です。同書の日本語訳は、『ラオ先生のインド占星術─運命と時輪(上巻・下巻)』というタイトルでインド占星塾から出版されています。こ のなかには、「ラグー・パラーシャリ」の要約が収録されています。「ラグー・パラーシャリ」のラグーとは「小さな」という意味ですが、その名が示すように 「ラグー・パラーシャリ」には、聖仙パラーシャラの法則のエッセンスが含まれています。そしてこの「ラグー・パラーシャリ」には、時代の検証に耐えてき た、ヴィムショッタリ・ダシャー分析のエッセンスが含まれているとシュリKNラオは言います。

次にお薦めしたいのが"UPS and DOWNS in CAREER" (by K.N.Ro)です。ダブル・トランジットを使った分析が詳細に紹介されています。また、ダブルトランジット分析に関する簡単な紹介記事は、わたしのホー ムページにおいてポールが書いています(『木星と土星のダブルトランジット』http://jyotish.holy.jp /kiji_06_1.htm)。これも参考になるでしょう。

"The Nehru Dynasty" (by K.N.Ro)もお薦めです。近代インドを築いたネルー一族(ネルー首相、インディラ・ガンジー首相、ラジフガンジー首相、サンジャイ・ガンジー)の詳細 かつコンプリートなポートレート分析です。シュリKNラオが個人について分析した内容をここまで公開した例を私は知りません。ダシャーやトランジット分析 に限らず、様々なテクニックに触れることのできる良書です。

とりあえずこれらの書籍に目を通していれば、動的分析を含めた種々のテクニックを実例を通して学ぶことができます。

最後に、ヴィムショッタリ・ダシャーの理解を深めるために読むべき古典としてシュリKNラオが挙げるのは:

"Brihat Parashara Hora Sahstra"
"Sarvarth Chintamani"
"Jataka Bharanam"


です。シュリKNラオは、これらの古典を読みダシャーごとに象意をまとめると役立つだろうと繰り返し生徒に勧めていました。いずれも英語訳がありますが、日本語訳はありません。どれも分厚い本です。並べて眺めてみると、ちょっと頭がくらくらしてきます。シュリKNラオが、「ダシャー分析がきちんとできるようになるまで10年かかる」というのは、こういうことなのです。根性がないとついつい安易に流されてしまい、我流に陥ってしまいます。そして、我流を「オリジナル」と公言して開き直ってみたくもなります。

シュリKNラオが校長を務める占星術学校では、ジョーティシュをベーダンガとして誠実に学ぶ姿勢が求められます。私はかつて、Dr.ゴエルの授業を2~3 年ぶりに訪れたとき、「あなたの顔は覚えている。その後も、ジョーティシュの勉強を誠実に続けていますか?」「古典もきちんと読んでいますか?」と聞かれ ました。そう、「ジョーティシュを誠実に学ぶ」とは、①古典も学ぶことであり、②それを継続することであり、安易な結果を求めず努力を惜しまないことなのです。ガネーシャ神やヴィシュヌ神に礼拝していればいいというものでは決してありません。私は当然そういうつもりだったので「はい」と答えました。「では、受講を許可する」。そのようなやりとりがあって、ようやく訪問者の私は受け入れられました。

ジョーティシュを学ぶ上で要求される才能というのがもしかりにあるとするなら、それはまず第一に、地道に努力を積み重ねる意志の力ではないでしょうか。諦めないこと。それには、勇気覚悟が必要です。

そういえば、バガヴァッド・ギーターにもありました。

「わたしはなにが正しいか(なにをすべきか)を知っている。ただ、それを行う勇気がないのです」


なお、動的分析はこのAstroDiaryで紹介する事例のなかでも頻繁に使用されています。参考にされてください。
S.Shimizu
Calender
<
>
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 78
9 10 11 12 13 1415
16 17 18 19 20 2122
23 24 25 26 27 2829
30 31 - - - - -

全記事

Designed by 石津 花

Archive
no. of Visitors
検索
最新コメント
リンク
只今の訪問者数
現在の閲覧者数: