バーラティーヤ・ヴィディヤー・バワン占星術コース

清水がデリーで書いています。

1月から表題の学校に在籍し、年末までジョーティシュを勉強する予定です。この学校は、日本でも知る人は知る存在になったようですが、その実体はまだあまり知られていないようです。今回はこのバーラティーア・ヴィディヤー・バワンの占星術学校について紹介します。

Bharatiya Vidya Bhavan - New Delhi, India
 

まずバーラティーヤ・ヴィディヤー・バワンとはなんぞや? ですが、バーラティーヤはインドという意味です。日本を大和、ギリシャをヘレン、スイスをヘルヴェティカと呼ぶように、インドをバールティアと呼びます。世界最古で最長の叙事詩『マハーバーラタ』は偉大なバーラタ族の物語という意味になります。

そしてヴィディヤーは知識、バワンは家を意味します。バワンといえば、占星術のハウスをバーヴァといいますよね。あのバーヴァと関係あります。バワンは現代では大きな建物、公的な施設を指すことが多いようです。たとえば、レールウェイ・バワンとは、鉄道省のことです。

昨年2月、シュリKNラオの研究コースで知り合ったインドの男性から、「ヒンディー語を教えてあげるから一度レールウェイ・バワンの私のところにきなさい」といわれ、のこのこたずねていったことがあります。名前からして、鉄道の官舎に住んでいる人なのかなと思ったら、そこは鉄道省でした。しかもその人は経理局長(Executive Director of Accountant)でした。ヒンディー語の勉強の仕方を教えてもらったのですが、そのわずか30分のあいだに彼の携帯電話は鳴りっぱなしでした。あっ、大臣からの電話だからちょっと待ってね。。。てな感じで、どこの馬の骨かわからぬ日本人相手にヒンディー語を教えている暇があったら、母国のためにもっとやることがあるんじゃないかぁ~と複雑な思いにかられました。その後、彼からまた誘われましたが、丁重にお断りしました。なにかそそうをして国際問題になっては困りますからね。彼はいまでも熱心にリサーチ・コースに通っています。先週、学校で会いました。

話をもとに戻しましょう。バーラティーヤ・ヴィディヤー・バワンとは、文字通り、インドの知識を授けるところ、となります。バーラティーヤ・ヴィディヤー・バワンは、デリーだけでなく、ムンバイ(ボンベイ)をはじめインド各地にあります。

その役割ですが、コミュニティスクールというか、専門学校のようなところのようです。もともとはインド古来の知識を広く伝えることを意図してできたみたいですが、占星術の他にもサンスクリット語、フランス語、幼児教育、コンピューター・グラフィックス、MBAコースなど、様々なコースがあります。

施設のほとんどはすごくおんぼろで、日本ならとうの昔にお化け屋敷にでもなっているようなしろものです。たとえば、黒板はチョークの乗りがわるく、はっきり文字が書けない。うまくかけたとしても、蛍光灯(停電でなければ)や窓からはいってくる光を反射して、後ろの席からは文字がよく見えない。教室の音が反響してゴワンゴワンと響く。隣の教室の音が筒抜けでうるさく、先生の声がよく聞こえない。なので隣の教室が騒々しすぎるときは壁を拳で2~3回叩いて注意を喚起する。こんな感じです。だから、語学のハンディーを背負う私は、授業の始まる1時間~30分前には到着し、最前列ちょっと左の席を取ることにしています。最前列というのは意気込みの現れ、ちょっと左というのは遠慮の現れです。

ところが、最近、鉄鋼王ミッタルから新しい施設が寄贈されました。鉄鋼王ミッタルが新日鐵を買収するかも!という特集番組が昨年(一昨年だったかもしれない)、NHKスペシャルで放映されましたが、あのミッタルです。その大富豪がデリーのバーラティーヤ・ヴィディヤー・バワンにMBAコースの施設を寄贈したのです。その建物はすぐ隣に建ってい て、ミッタル・インスティテュート・オブ・マネジマントだったかそんな名前を冠していて、最新設備で完備され、まぶしいくらいにピカピカ光って見えます。昨年12月のロシア人相手の占星術コースはそこでおこなわれました。ごらんの通り(↓)、ホワイトボード仕様でスライド上映ができ、椅子は背もたれ付の最新式でまだビニールカバーがついたままです。大集会場には、サムソン製のクーラーが3メートルおきに惜しげもなく設置され、現代のタージマハールかと見まごうばかりです(もちろん、そんなわけはない)。

KNRa_lecture

ところで、このバーラティーヤ・ヴィディヤー・バワンで占星術コースができたのは、1987年。Shr.K.N.ラオがすべてひとりで始めたといってもいいそうです。現在、ファカルティー(教授陣)は30名近くいますが、すべてシュリKNラオからなんらかのかたちで占星術を教わりました。このファカルティーに加わるには、アーチャーリア・コースを修めている必要があるとアニールから聞きました。

この占星術コースでは、まずジョーティシュのほとんどすべての領域を2年かけて学び、3年目から研究(リサーチ)に入ります。コースは下記の3つからできています。

①アランカー・コース
②アーチャリヤ・コース
③リサーチ・コース


アランカー・コースは1年目、アーチャーリヤ・コースは2年目、リサーチ・コースは3年目以降です。リサーチ・コースに10年近く在籍している人もいます。大学でいえば、アランカーとアーチャーリヤは学部、リサーチ・コースは大学院というかんじでしょうか。土日にしか授業はありませんが、どんどん授業が進んでいくので、予習・復習をこなし、参考図書をまじめに読んでいるだけで、あっという間に一週間がすぎてしまいます。

2006年の資料によると、生徒数は900名くらいになるそうです。半年ごとに募集しています。だいたい各コースに6~7クラスがあるのでしょうか(?)。 なぜ?がつくのかというと、在校生に クラスの数をたずねてもだれも把握していません。まさか?!と思うかもしれませんが、それがインド!なのだ。だから教官の数から逆算すると、だいたいそんな感じです。そのうち、1~3クラスは英語のクラスです。それは毎年違うし、コースによっても違うそうです。

学期末には厳しい筆記試験があります。わりと難易度の高い試験です。ホロスコープ、ダシャー、ヴァルシャファラ、あらゆる計算をマニュアルでこなさなければなりません、もちろん電卓の持ち込みはOKですが、コンピュータ・ソフトに慣れきっている私ははやくも戦々恐々です。早々にマニュアル計算の練習を開始しなければいけません。しかしそうでないインド人にとっても、そのつど授業を消化しなければ試験に間にあいません。みんなけっこうまじめに取り組んでいます。

おもしろい授業では質問もさかんでかなりもり上がります。逆に授業がおもしろくないと、生徒は早々に見切りをつけて去っていきます。私が出席しているアーチャーリヤ・コースは、昨年、アランカーのとき英語で教えるクラスは3つありましたが、いまでは1クラスに減りました。36人のうち6人しかアーチャーリヤに進まなかったクラスもありました。

「教官次第だ」と、友人はいいます。どの教官がどの教科を担当するかは、かなり重要です。「昨年のアランカーはちょっとひどかった」と彼はいいます。「とくに天文学、アシュタカヴァルガ、ムフルタだ」ということでした。たしかにこれらの教科は、何が重要で何がそうでないかをきちんと仕分けして教えないといくらでも細かくなってしまいます。多くの人が興味を失い、期末試験を放棄したそうです。

で、いま私たちのアーチャーリヤのコースを担当する6人の教官はどうだ?と訊いたところ、「いまのところ悪くないね」と彼はいいました。彼も含めて生徒の多くは高学歴の持ち主で知的水準が高く、彼らの知的好奇心を満足させ続けるのは教師にとっても容易ではありません。私はこの3週間、授業に出てみて、ひとりだけ「ちょっとなぁ」と思う先生がいるほかは、かなり楽しんでいます。やっぱり来て良かったと思っています。

最後に、ただで授業が受けられるかのような誤解が日本で広まっているようですが、授業料はしっかりとられます。年間8,000ルピーもします。試験を受けるのにも1,000ルピーかかります。さらに参考図書など、結構費用はかかります。

以下、この学校の案内書のなかから一部を訳出し紹介します。


設立趣意


バーラティーヤ・ヴィディヤー・バワン・ニューデリーの占星術学校Institute of Aastrology, Bharatiya Vidya Bhavan, New Delhiは、世界標準に達する高いレベルの教授陣を擁し、彼らの献身的な努力により、ヴェーダの聖なる知識を授けるだけでなく、高い規律を守ることの 意義を広め、学ぶ者がスキルにおいて秀でるだけでなく、倫理においても鍛えられることで、人類の生活の質的向上に資することを目標としている。我々がおこ なう占星術は、厳密に古典にのっとっている。したがって、グラハ・シャンティ、宝石、カーラ・サルパ・ドーシャ、などの処方を支持しない。それらの処方 は、こんにち様々なメディアを通して広く流布されているが、ブリハット・パラーシャラ・ホラ・シャーストラには一切触れられていない。

シラバス


ジョーティシュ・アランカー

(ペーパーごとに3時間)

PAPER I

Part I: 占星術数学

占星術用語、標準時間/ローカル時間/サイデリアル時間/グリニッジ時間、日出/日入、日中/夜中、伝統的な誕生時のイシュタカール変換、ラグナの決定(現代と伝統)、天体の経度、ホロスコープ、ハウス、ハウス・カスプ、分割図、サプタヴァルガ、アプラカシット・グラハ


Part II: 占星術に関係する天文学

地球とゾーディアック、サインとナクシャトラ、天体システム、ラーフとケートゥ、緯度・経度、赤道、横道、春分点の歳差運動、サイデリアルとトロピカル、アヤナムシャ、太陽暦、太陰暦、太陽太陰暦、蝕、パンチャーンガ、天文暦、インドの天文史

PAPER II

Part I: プレディクティブ

サインとその象意、サインの支配星、惑星の性質/高揚/減衰/ムーラトリコーナ/コンバスト、惑星の相互関係、惑星・サイン・ハウスの象意、アセンダントごとに決まる吉星と凶星、アスペクト、惑星のアヴァスタ、アセンダントごとの特徴、ハウスと惑星の関係、ヨーガ(太陽のヨーガ、月のヨーガ、ラグナのヨーガ、ダーナヨーガ、ラージャヨーガ、マンガルドーシャ)、ホロスコープの判定方法

Part II: 占星術全般

占星術の妥当性、占星術家の資質、占星術と化学、占星術と創世記、占星術とカルマ、占星術と心理学、占星術の歴史、占星術の神話


PAPER III

Part I: ダシャー

ヴィムショッタリ・ダシャーの計算法(マハー・ダシャー、アンタル・ダシャー、プラティアンタルダシャー)、ヨーギニー・ダシャーの計算法(マハー・ダシャー、アンタル・ダシャー)、イベントのタイミング、ダシャーとトランジットを用いた予言の方法

Part II: トランジット

トランジットとその効果、月とアセンダントから見たトランジット、トランジットによるイベントのタイミングと検証、サディサティ、ムールティ・ニルヤーナ


PAPER IV

Part I: アシュタカヴァルガ

アシュタカヴァルガのコンセプト(ビナシュタカヴァルガ、プラシュタラ・アシュタカヴァルガ、サルヴァシュタカヴァルガ、トリコーナ・ショダーナ、エカディパティヤ・ショダーナ、シュッダピンダ)、アシュタカヴァルガの解釈、アシュタカヴァルガ・アユルダヤ

Part II: ムフルタ

エレクション、ティティ、ヴァール、ヨーガ、カラン、ナクシャトラ、ショダシャ・サンスカール


PAPER V

Part I: 結婚

早婚、晩婚、結婚の否定、再婚、結婚不和、結婚にまつわる悲劇、結婚のタイミング、マッチング

Part II: 子供

子供を授かる条件、子供ができにくい、子供ができない条件、子供の生まれるタイミング

     サンスクリット語の試験はありません。

 

ジョーティシュ・アーチャーリヤ
(ペーパーごとに3時間)

PAPER I

Part I: シャドバラ

惑星の強さの計算方法、ハウスの強さの計算方法、アヴァシヤ・バルの計算方法

Part II: 寿命

寿命を決める一般原則、寿命の計算方法、ピンダーユ、アムシャーユ、ナイサルギカーユ、ジーヴァーユ、コタチャクラ


PAPER II

Part I: プレディクティブ

ホロスコープの判定方法、12ハウスの分析、分割図の使い方、ナバサヨーガ、ドゥウィサプタティ&チャトルシーティ・サーマ・ダシャー、コンポジット・アプローチ、複数のテクニックの併用、古典原則の適用法

Part II: 職業

職業の種類、初任給、キャリア・プランニング、昇進の時期、転職、副職


PAPER III

Part I: ホラリー

ホラリー占星術の原則、タジカヨーガ、テーマごとの見方(窃盗、病気、裁判、旅行)、複数の質問、隠された質問、古典『Shat Pancha Shika』の分析と応用

Part II: ヴァルシャファラ

ヴァルシャファラとは、年間チャートの作成法、惑星の強さ、ムンタ、ダシャー(ヨーギニー、ムッダ、パティヤヤーニー)、年間主星、ヴァルシェーシュ、トリパタキ、ヨーガとサハム、解釈法


PAPER IV

Part I: 医療占星術

アリシュタ、バラリシタ、アリシュタバンガ、事故、先天病、医療占星術の概念、ハウスと惑星の象意、身体部位、凶星と吉星、発症の時期、病気別(精神病、目の病気、言葉の障害、心臓病、糖尿病、盲腸など)

Part II: 天候占星術とマンデーン占星術

天候とチャイトラ・シュクラ・プラティパーダの関係、ソーラーイングレス(牡羊座、毎月)、新月図、満月図、国別のチャート、蝕の意義、クールマ・チャクラ、サンガッタ・ラシ・チャクラ


PAPER V

Part I: ジャイミニ

大原則、アスペクト、カーラカ、チャラ・ダシャー、マンドゥック・ダシャー、スティラ・ダシャー、惑星とハウスの強さ、ブラフマー、ルドラ、マヘーシュワラ、ウパパダ、カラカムシャ、スワムシャ、アルーダ、解釈

S.Shimizu
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