北朝鮮のミサイル発射問題

清水がデリーで書いています。

「政府は5日(2009年4月)午前11時33分、北朝鮮が咸鏡北道(ハムギョンプクド)花台郡(ファデグン)舞水端里(ムスダンリ)のミサイル基地から『人工衛星』として準備していた長距離弾道ミサイルを発射した模様だと発表した。」(毎日JP)

これはインターネットの毎日JPに掲載されていた記事からの抜粋である。もともとインドでは東アジアに関するニュースをほとんどみることがない。しかしさすがにこのニュースはインドでも朝からCNNなどで大きく取り上げられていた。

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人工衛星だと北朝鮮は主張しているが、百歩譲って仮にそうだったとしても、北朝鮮の関心は人工衛星にはなく、人工衛星を飛ばす能力を有する長距離ミサイルにあるのはいうまでもない。その理由はもちろん核弾頭の搭載が可能なミサイルを所有することで、①米国に対する強力な外交カードを手に入れ進展のない6カ国協議から米国を引き出して2国間協議に持ち込むことができるし、それを今回のように世界に顕示することで、②シリア、イラン、パキスタンなど中東や西南アジア諸国に対しては中長距離ミサイルを好条件で売り込むことができるからだ。そういった話は各メディアが伝える通りなのだろう。

「北朝鮮が輸出に力を注いできたのは、主に射程距離1000キロ前後のミサイルだ。北朝鮮は84年に射程距離300キロのスカッドBミサイル、93年に射程距離1300キロのノドンミサイルの試験発射に成功しており、これを中東や西南アジアの国々に輸出してきた。」 朝鮮日報

しかしそれにしても失礼千万な話である。

北朝鮮は、仮想敵国とする日本の上空で、日本をターゲットとした軍事演習を大々的に行ったようなものだ。つまり、日本にしてみれば、強盗のチャンスを虎視眈々とうかがっている隣人に自分の庭先で押し込みのリハーサルをされているようなものである。悲しいことに北朝鮮に対して有効な外交カードを持たない日本はいまのところ国連の安保理に泣きつくしかない。しかし、中国とロシアの「拒否権」あるいは「慎重な姿勢」の壁に阻まれて頼みの綱の国連の安保理決議も中途半端なかたちで終わり、うやむやのままで事態は収束にむかうのは見えている。そうなると結局だれが得をしたのかとなれば、やはり上記2点において利益を得る北朝鮮ということになるのだろう。

さて、このことがホロスコープにはどのように出ているのか興味深い。発射日時2009年4月5日;午前11時33分;平壌でチャートを作成し、分析を試みた。

北朝鮮長距離ミサイル発射

ラグナは双子座。デュアル・サイン(柔軟星座)である。ラグナ・ロードはやはりデュアル・サイン(柔軟星座)の魚座にある。デュアル・サイン(柔軟星座)は文字通り二面性を表す。北朝鮮の主張に表裏があるのはみなさんご存じのとおり。

ラグナ・ロードは10ハウスでヴァルゴッタマの減衰である。しかしD1でもD9でも金星と絡み合うことでニーチャバンガ・ラージャヨーガとなっている。ニーチャバンガ・ラージャヨーガはときには大きな結果をもたらすが、しかしその前に犠牲をともなう。これは北朝鮮が身を切ってまでも実を取りに出たことを表している。5ハウスを支配する金星と10ハウスでコンジャンクトして水星はもうひとつラージャヨーガを形成している。これらは、認知地位の向上を表す。今回の発射で、米韓日との関係はさらに悪化し、とくに宥和政策をこれまで続けてきた韓国からの物資支援はもう期待できないが、そのかわり長距離ミサイルの性能を飛躍的に向上させたことを世界に知らしめたことは間違いなかろう。金星は12ハウスも支配するので海外での認知となる。ところで、10ハウスの金星は見かけ倒しという意味もある。金星は逆行し、D9では減衰しているので、今回の評価は後になってやや修正されることになるだろう。

「1998年に発射されたテポドン1号と比べて、およそ倍まで飛距離を伸ばしたことになります」 「ヴィック氏は一足先に衛星の打ち上げを成功させたイランとの技術協力などもあり、北朝鮮の長距離弾道ミサイルが脅威となるのは時間の問題だとしています。」 「人工衛星を軌道に乗せ、弾道ミサイルを完成させるのに、そんなに時間はかからないでしょう。1年半くらいあれば出来るかもしれません」(ミサイル専門家、チャールズ・ヴィック氏) (TBSNewsi)

10ハウスには太陽もある。太陽はオーソリティ、すなわち大国を表す。北朝鮮は発車直前の午前11時頃、アメリカ、中国、ロシア3国に通告していた。大国に一定の配慮を示し、認知を得ようとしていた。太陽は3ハウス(勇気)を支配し、10ハウス(行為)にあるので、蛮行を表す。アメリカのオバマ大統領は北朝鮮の今回の行為(蛮行)を厳しく非難した。しかし今後は北朝鮮を、弾道ミサイルと核の両方を保有する国のひとつとしてより慎重に扱わなくてはならなくなった。

「情報筋は、北朝鮮が最近ノドンに搭載するための核弾頭を製造し、配備したと見ている」 (TBSNewsi)

蛮行についていえば、3ハウスに在住する土星は並々ならぬ決意努力を表す。が、太陽のサインにある土星は素行が悪い。8ハウスを支配する土星は、6ハウスと11ハウスを支配する火星とピッタリの度数でアスペクしあって、かなり凶暴なコンビネーションを形成している。3-9の軸にできるこのコンビネーションは、それらのハウスを破壊することで、近隣諸国との関係(3)を損ない、世界調和(ダルマ、9)を脅かしている。しかし彼らにしてみれば、9ハウス(正義)にある6,11支配の火星は、彼らの正義の闘いでもある。土星と火星はともに12ハウスにアスペクトして傷つけている。これは世界からの孤立(12)を表す。

興味深いことに、火星、土星、太陽の度数(22°)がアセンダントの度数(22°)とほぼ同じである。これは、アセンダントにこれらの凶星が強く影響を及ぼしており、やはり北朝鮮の蛮勇を鼓舞する結果となっている。このような惑星配置はふつうは好ましくないのだが、今回のように闘争的な行為にはかえって有利に作用する。

しかし、火星(6)と土星(8)のタイトなオポジションといい、それらが太陽(3)とともにラグナと組むタイトな関係性といい、かなり緊張した状況にあったことは否定できない。一部中国紙は下記のように報じている。

「北朝鮮人工衛星打ち上げ後の最も危険な5分間ミスがあれば戦争に発展も」 「もし日朝両国いずれかにミスが生じた場合、軍事的な対立、さらには戦争へと発展する可能性も否めない」 2009年4月6日、国際先駆導報

かなり挑発的なチャートではあるが、最悪の事態を逃れることができたのは、無傷のラグナと10ハウスの強さに尽きるといえる。

ところで月はサイコロジーを表す。月は2ハウスの定位にあり、ナクシャトラはアーシュレーシャにある。ラグナが貿易・通商を表す双子座にあることも考え合わせると、武器貿易を促進させて経済安定(2ハウス、蟹座)をはかりたいという意図と、日韓米を思いのままに操作しようというアーシュレーシャ的な性質が意図としてあるのがわかる。面白いことに、2ハウス(収入)で月とコンジャンクトするケートゥは蛇のしっぽの象徴だが、ミサイルと見立てることができなくもない。アーシュレーシャは蛇と深く関わるナクシャトラである。

10ハウス・ルーラーの木星は、8ハウスにあって秘密スキャンダルを表す。木星は、定位にある強い月とタイトにアスペクトしあってガジャケーサリヨーガを形成している。今回のデモンストレーションの効果の高さを表している。しかし木星は減衰し、ラーフと絡んで傷ついており、グルチャンダルヨーガでもある。倫理感の欠如とダーティーなイメージは避けられまい。

次にダシャー分析である。このチャートのダシャーは水星/ラーフ期から始まる。

マハーダシャー・ロードの水星はなんといってもラグナ・ロードである。水星は10ハウスでニーチャバンガ・ヨーガをふくむラージャヨーガを形成している。なかなか強力である。しかもD1、D9、D10いずれでも6ハウスと絡んでいてかなり好戦的でもある。水星はまたD1では12ハウス、D9とD10では7ハウスと絡んでいて貿易を表す。6ハウス(武器)との絡みから、武器貿易の振興が読み取れる。

アンタル・ダシャー・ロードのラーフはD1、D9、D10でも7ハウスと絡んでいる。7ハウスには、貿易、交渉力、衝突、戦争の象意がある。

ところで、タージク・ヨーガで見てみようと思う。

今回の北朝鮮のもくろみの結果をみるとき、ラグナ・ロードと10ハウス・ルーラーのあいだにどのようなタージク・ヨーガが成立しているのかをみることで、おおよその予想を立てることができる。

ラグナ・ロードの水星は、10ハウス・ルーラーの木星との間にイシュラーフ・ヨーガ(Ishraph Yoga)を形成している。つまり①水星と木星は3-11の配置にあってタージク・ヨーガを形成しており、さらに②速い惑星(水星)の度数が遅い惑星(木星)の度数より大きく、しかも③水星と木星の度数の差はディープタムシャの範囲(水星は7°、木星は9°)内にある。イシュラーフ・ヨーガを形成する惑星どうしの間では、それらの関係が表す結果をもたらすことができない。なので、今回のもくろみは失敗?ということになるかといえば…。

チャートをよく見ると、第3者の介入で結果がもたらされることが暗示されている。それは、月である。月は、水星と木星の両方との間にイタサーラ・ヨーガ(Ithasala Yoga)を形成し、結果的に水星と木星の橋渡し役をしている。どういうことかというと、月は、水星と木星のいずれに対しても下記の3つの条件をみたしている。

タージク・ヨーガを形成している(水星に対しては5-9、木星に対して7-7の配置)
②月はいずれの惑星よりも速く、いずれの惑星よりも度数が小さい。
③月の度数は、いずれの惑星の度数ともディープタムシャ(月は12°)の範囲以内にある。

なので月は水星とも木星ともイタサーラ・ヨーガを形成し、結果をもたらす手助けをすることになる。この場合、水星は北朝鮮にとって身内的な存在(2ハウス)であり、あるいは母親(月)的な後見人と しての存在である。それは、中国でありロシアであろう。ただし月は定位にあり、木星からのアスペクト受けて強いものの、天敵であるケートゥとコンジャンク トしていて、その援助がどれだけ有効かは若干の疑問が残るところでもある。結局、北朝鮮のもくろみの成否は、ロシアや中国しだいということになる。

以上から、今回のもくろみの最終的な決着はどうなるかといえば、北朝鮮は中国かロシア、あるいは両方からの仲介ないし支援により、ある程度目標を達成するであろう。しかしその仲介や支援は全面的なものではなく、どちらかといえば陰に隠れた遠慮がちなもの(ケートゥ)、あるいは制裁に対する慎重な姿勢というかたちをとるであろうし、現実にそういうかたちで進んでいるようである。

最後に、ジャイミニでも確認しておこう。

ラシ・ダシャーは双子座である。双子座は、ラグナから数えて1ハウス、カラカーンシャ・ラグナ(KL)から数えて4ハウス、アルーダ・ラグナ(AL)から数えて7ハウス、アートマカーラカ(AK、水星)から数えて4ハウスである。ジャイミニで重要などのラグナから数えてもケンドラにあり、AKの水星、DKの金星、GKの太陽がアスペクトしてラージャヨーガを形成している。またラグナ・ロードがAKというのもたいへん良い。今回のこころみで一定の損失を被る(GK)ものの、ある程度の地位向上が期待できる結果となることを示しており、上記の分析結果とも調和的である。
S.Shimizu
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