インド占星術と迷信

デリーで清水が書いています。

日本人は外国語に弱い。
 
これは①外国語が苦手という意味もある。

しかし、それ以上に、②カタカナで言われると「ははーっ」とかしこまってしまうということも含まれる。
カタカナには、英語をはじめとする欧米語だけでなく、サンスクリット語を含んでもいい。

たとえば、富をもたらすヨーガとして知られるダーナ・ヨーガ
ダーナ・ヨーガではなくダナ・ヨーガだ」と、インド通の人にまことしやかに言われると、「ははーっ」となってしまう。
あるいは、「サンスクリットではこう発音するんですよ」とすぐにしたり顔で言ってしまうメンタリー。
これも、外国語がともなう多様性に慣れていないがゆえの異文化に対する「脆弱性」の現れではないか。

私の耳には、インド人がいう Dhana Yoga はダヌ・ヨーグと聞こえる。
授業のなかでは、ダーヌ・ヨーグと聞こえることもある。
これはヒンディー語だ。
だからといって、私は「ダーナ・ヨーガじゃなくて、ダヌ・ヨーグですっ!」と主張するつもりはない。
ダヌ・ヨーグと書くことはあるかも知れないが、「それだけが正しい」などというつもりは毛頭ない。

太陽を意味するスーリヤは、ベンガル地方ではスジャーヤと発音される。
大きいことを意味するマハーは、ケーララやタミルナードゥあたりではマカーと発音するらしい。
それが日本に伝わって「摩可」となったとか。

だから、日本で「ダーナ・ヨーガ」と発音したっていいじゃないか。
すくなくとも、そういう余りなじみのない単語の発音の一字一句にいちいちつっこむ気になれないし、逆につっこまれるのをビクビクして過ごしたくもない。

日本ではなされる英語はJanglishと呼ばれる。
インドではなされる英語はInglishと呼ばれる。
JanglishやInglishはダメだという話は聞いたことがない。
要は、それで get a job done ができるかどうかなのだ。


で、ここからようやく本題に入る。

日本人がカタカナに弱いのと同じように、インド人も実はサンスクリットに弱い。

サンスクリットができる人は意外と少ないという意味もある。
が、やはり同じように、サンスクリットで表現されると、思考が停止してしまうという意味においても、「弱い」のである。

たとえば、インド人を恐怖のどん底に落とすサンスクリット語がインド占星術にいくつかある。

代表的なのが、カーラ・サルパ・ヨーガ

ラーフとケートゥの軸の片側にすべての惑星が偏ってしまうときに成立するヨーガ。
この天体配置をもっていると悲惨な人生を送ると一般に信じられている。

「あなたのクンダリー(チャートのこと)にはカーラサルパヨーガという恐ろしいヨーガがある…」
といって高価なヤッギャや宝石をすすめるのは占星術師の常套手段。

しかし、このヨーガはそもそもどの古典にも記載されていない。
そして、このヨーガの持ち主で大成功を収めている人はいくらでもいる。
たとえば、マーガレット・サッチャー(たしか)。

ほかにも、たとえば皆さんご存じの恐怖のサディ・サティ

土星が、月の前後のサイン、あるいは月と同じサインをトランジットしているときにこう呼ばれる。
(別の定義もある)
これも、「いまはサディサティだからなぁ」という使われ方をする。

それから、アシュタシャニ(月から数えた8ハウスをトランジットする土星)。
カンタークシャニ(月から数えた4ハウスをトランジットする土星)
土星がこれらの状態にあるときは一般に恐れられている。

しかし最近の研究では、土星がこれらの位置にあっても、70%の確率でむしろ良い現象が起きていることが確認されている。
もちろんとても悪いこともあるが、しかしそれはダシャー次第であることがわかってきている。

ついでにもうひとつ。

どのハウスも、カーラカがそのハウスに在住するのは良くないとされている。

たとえば金星は7ハウスのカーラカなので、7ハウスにある金星は結婚にとって良くないとされる。
唯一の例外は8ハウスの土星である。

しかし最近の研究によれば、これも80%の確率で否定されることがわかった。
その成果は、JOA(Journal of Astrology)の最新号に掲載されている。
(ヒンディー語だけどね。)

Sh.K.N.ラオは、バリバリのヒンディー教徒である。
しかし、ヒンディー原理主義者ではない。
ヒンディー文化玉石混交であることを知悉している。
ヒンディー文化は、リシ(聖仙)たちが残した知識と地方に伝わる迷信が混交するかたちで形成されてきた。

「科学と精神性」と題するインド商工会議所(FICCI)主催のシンポジウムで、インドにおいては、宗教と科学は矛盾しないとSh.K.N.ラオは講演した。
ジョーティシュは科学である以上、数々の検証に耐えられなければならない。

Sh.K.N.ラオのこれまでの長年の努力は、を残し、を取り除く作業といっていい。
ヴェーダに属するから正しいのではなく、サンスクリットで書かれてあるから正しいのでもない。
(もちろん、それはそれなりに尊重されているけどね。)
S.Shimizu
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