マンデーン占星術国際会議 @ Visakhapatnam
清水がデリーで書いています。
昨日、ヴィシャーカパトナムで開催されていたマンデーン占星術国際会議から帰ってきた。
マンデーン占星術というのは、わかりやすくいえば国家などの集合体を対象とする占星術のこと。
国際会議というから、ACVA(American College of Vedic Astrology)あたりが中心になって定期的に世界のどこかで持ち回りで開催されているのかと思っていた。
ジェームズ・ケラハー、デビッド・フローリー、エディス・ハーサウエイ、コミラ・サットンらが出席するとShr.K.N.ラオから聞いていたからだった。
彼らはみな、ACVAやBAVA(British Association for Vedic Astrology)の理事を務めるなど、いちおう欧米では名のとおったヴェーダ占星術家だ。

前列左から(敬称略): ジェームズケラハー、K.N.ラオ、デビィッド・フローリー、シャンバンヴィ・チョップラ、コミラ・サットン
ところが、出席してみて、事情がだいぶ違うことがわかった。
昨日、ヴィシャーカパトナムで開催されていたマンデーン占星術国際会議から帰ってきた。
マンデーン占星術というのは、わかりやすくいえば国家などの集合体を対象とする占星術のこと。
国際会議というから、ACVA(American College of Vedic Astrology)あたりが中心になって定期的に世界のどこかで持ち回りで開催されているのかと思っていた。
ジェームズ・ケラハー、デビッド・フローリー、エディス・ハーサウエイ、コミラ・サットンらが出席するとShr.K.N.ラオから聞いていたからだった。
彼らはみな、ACVAやBAVA(British Association for Vedic Astrology)の理事を務めるなど、いちおう欧米では名のとおったヴェーダ占星術家だ。

前列左から(敬称略): ジェームズケラハー、K.N.ラオ、デビィッド・フローリー、シャンバンヴィ・チョップラ、コミラ・サットン
ところが、出席してみて、事情がだいぶ違うことがわかった。
たしかに欧米からの出席者は全員ジェームズ・ケラハーの知人で占められていた。
インド側の出席者のなかにもジェームズ・ケラハーらの知人が多かった。
ACVAの影響は、欧米のみならず、インド国内においても広範に及んでいることを知った。
しかし、この会議を主催したのは、あるヨーギーだった。
サットグル・シヴァナンダ・ムールティージ(写真)(Sadguru Sivananda Murthy)というヨーギーだった。
グルジ(以下、シヴァナンダ・ムールティージをグルジと呼ぶ)がジェームズ・ケラハーの助言と支援を得て、この会議を開催したのだった。
プレゼンをしたのはShr.K.N.ラオを含む19名の占星術家と3名の高名な科学者だった。
しかし、会議の聴衆者のほとんどは、グルジの信奉者だった。
世界中からインド占星術家を一同に集めて近未来について彼らの意見を聞きてみよう。
どうやらそれが、グルジがこの会議を開催した趣旨のようだった。
Shr.K.N.ラオによれば、グルジは若いときに集中的に占星術を実践していた。
その結果、ジョーテイシュのナーディー(経絡)が開いてホロスコープを見なくても未来について語ることができるようになったそうだ。
では、そのグルジがなぜこのタイミングでこのような会議を招集したのか?
近未来についてなにか気になるヴィジョンを見ていて、それについて名のある占星術家の意見を聞いてみたい。
そう思ったのではないだろうか。
実際、開会式でグルジは次のように述べていた。
「ヨーギーですら間違えた方向に人々を導くことが少なくない」
(More often than not even a yogi can be misleading)
「ヨーギーが見るヴィジョンには時間が示されていない」
(His vision has no time stamp on it)
他でもないヨーギーがそういうんだから、実際にそうなんだろう。
で、果たしてその目的は達成されたのだろうか?
結論からいえば、ある程度グルジはこの会議で手応えを得ることができたのではないだろうか。
しかし、バーラティーヤ・ヴィディヤー・バワンから私たちが参加していなければ、その目的からほど遠い結果に終わっていただろうとも思った。
それほど、とくに欧米からの参加者のプレゼンは肩すかしだった。
細かいことは書かないが、欧米の占星術家のプレゼンは、ほとんどがトランジットのはなしに終始していた。
ダシャーに言及した発表は皆無だった。
マンデーンでも個人のホロスコープでも、ダシャーがトランジットに優先するのは基本中の基本だというのに‥。
長年の研究成果というよりも、「思いつき」を膨らませたような発表が多かった。
それが、私が受けた印象だった。
それに対してShr.K.N.ラオのプレゼンは、手前味噌を承知の上で書くのだが、システマチックで、網羅的で、重層的で、しかも啓示的だった。
ふだんからリサーチを継続的にやっている場合とそうでない場合の違いは、やはりこういうところではっきりと現れてしまう。
Shr.K.N.ラオの講演は:
・まず世界の破局(とくにマヤ暦)を否定し、
・戦争とテロリズムを定義し、
・マハーバーラターなどの古典に示されている戦争のヒントを引用し、
・それらから導き出されたパラメーターを実例とともに紹介し、
・戦争を起こす国のホロスコープとダシャーに見られる特徴を示し、
・戦争を仕掛け/仕掛けられるリーダーのダシャーの共通点を示し、
・主要各国の近未来予測をかんたんに披露し、
・2030年に起こる大きな戦争について可能性を指摘し、
・その後インドが果たす役割とその根拠について論じた。
発表は、与えられた1時間をはるかにオーバーしていた。
途中、司会者はShr.K.N.ラオの講演を遮(さえぎ)ろうとした。
だが、グルジはそれを制し、Shr.K.N.ラオに講演を続けさせた。
結論は、2030年にむかえる大きな戦争だ。
それまでに、世界は多くの戦争とテロを経験する。
しかし極めつけは2025年くらいから始まる大国間の衝突だ。
その大戦争を経て、世界は競争から共存・共栄の道を歩み始める。
インドは、世界の精神性をリードしていく。
その根拠は、詳しくは述べられなかったが、プラーナ文献、ホロスコープ、ダシャー、そしてトランジットに求められた。
講演時間は1時間45分にもなっていた。
Shr.K.N.ラオが講演を終えたとき、聴衆はスタンディング・オベーションで讃えていた。
壇上から降りようとするShr.K.N.ラオをスタンディング・オベーションで迎える聴衆
(Shr.K.N.ラオは写っていません)
講演のスライドを作成した私は、壇上でShr.K.N.ラオの横に座って補佐をしていた。
会場全体から興奮と感動と熱気が伝わってくるのをひしひしと感じていた。
公演後、握手を求めて聴衆がShr.K.N.ラオに詰め寄っていた。
もともとShr.K.N.ラオは、体調の不良を理由にこの会議への招待を再三断っていた。
しかし、グルジからのたっての願いということもあって、最後の最後になって参加することになった。
私に声がかかったのは、2週間前だった。
私は1週間前に原稿を手渡され、スライドを作り始めた。
しかしスライドは、その後に何度も修正が施され、発表当日の朝になっても修正をした。
Shr.K.N.ラオがこの講演のために何日も徹夜をしたのはすでに他のエントリで書いたとおり。
すべて入念に準備された結果である。
この会議の特徴と意義は、次の通りである。
① ヨーギーが主催した会議である。
② ACVAの主要メンバーとShr.K.N.ラオが約14年ぶりに再会を果たした。
③ ACVAが会議のイニシアチブを握っていた。
④ しかし、Shr.K.N.ラオの講演が会議全体のトーンを支配した。
⑤ 自然科学者がこの種の会議に始めて参加した。
② ACVAの主要メンバーとShr.K.N.ラオとの再会というのは、大きな出来事だった。
ACVAの主要メンバーというのは、ジェームズ・ケラハー、デビッド・フローリー、エディス・ハーサウエイたちである。
Shr.K.N.ラオが1996年にACVAとの関係を絶って以来の再会である。
Shr.K.N.ラオは初日から食事などで彼らと顔を合わせるたびに積極的に声を掛けていた。
しかし彼らは、初めはShr.K.N.ラオを意図的に避けていた。
しかし、段々とShr.K.N.ラオのはなしに彼らは耳を傾けるようになっていった。
だが、邂逅(かいこう)といえるところまで関係が修復されることはなかった。
それでも、断絶の壁は取り除かれていった。
デビット・フローリーは、近々Shr.K.N.ラオの家を訪れるとまで約束した。
エディス・ハーサウエイやコミラ・サットンは、Shr.K.N.ラオに助言を求めるようにまでなっていた。
しかし、最後までShr.K.N.ラオとの距離が縮まらなかったヴェーダ占星術家もいた。
⑤ 自然科学者がこの種の会議に参加したというのは聞いたことがない。
日本ではあり得ないことだが、インドでも初めてだそうだ。
インドが今後世界の精神性をリードするというのは、こういうところからもうかがうことができる。
いずれにせよ、これはグルジの徳ゆえに可能となったことだろう。
あと、会議は超過密スケジュールで行われた。
講演は、連日朝8:30から夕方の6時頃まで続いた。
夜は夜で、音楽の演奏やら会食会があった。
しかし、驚いたことに、グルジとShr.K.N.ラオは、そのすべてに参加していた。
会議でも、二人は一度も眠ることなくすべての講演に耳を傾けていた。
どこかの国の総理大臣とは大違いである。
二人とも80歳を目前とした「後期高齢者」である。
しかも、Shr.K.N.ラオは歩行もままならない身だ。
今回、会場で一度転んで両膝を強く打っていた。
目は一年以上前からまぶたがきれいに開かない。
だからShr.K.N.ラオは指で片眼をこじ開けながら、上映されるスライドを見ていた。
これを見て、私はまったく恐れ入ってしまった。
なんてすごい人たちなんだろう。
心の強さが、身体の不自由がもたらす限界を完全に凌駕していた。
もともとヨーガには、心と身体を結びつける(ヨーグ)という意味がある。
それは、身体を心の支配下におくということなのだが、Shr.K.N.ラオはそれをこなしていた。
このように、この会議への参加を通して、私自身いろいろなことを経験し、理解することができた。
まず、インド内外の高名な占星術家とも会うことができた。
そして、彼らのプレゼンを見ることができた。
その結果、バーラティーヤ・ヴィディヤー・バワンで行われている占星術の教育と研究の水準が、世界を見渡しても他の追随を許さないほど圧倒的な高さを誇っていることを再確認することができた。
それを確認できたことは、今後の自分にとっていい結果をもたらすだろうと思った。
左から(敬称略):グルジ、ガヤトリデーヴィ(BVラーマンの娘)、デビッド・フローリー、K.N.ラオ
最後に、国際会議の主要プログラムを紹介しておこう。
-----------------------
Friday, 1st October 2010
-----------------------
1) David Frawley:
"Yugas, the precessional degree and its conjunction with fixed stars in Yuga interpretation"
2) James Kelleher:
"Rahu-Saturn Conjunctions"
3) Edith Hathaway:
"Corporate Conglomerates vs Nation States: Which Nations will Survive and Thrive?"
-----------------------
Saturday, 2nd October 2010
-----------------------
1) Shambhanvi Chopra:
"Kali as the Yuga Sakti, The Power to Create a New World -- Age."
2) Komilla Sutton:
"Mars-Ketu Conjunctions"
3) Rafael Gil Brand:
"Equinoctial and SSolsticial Points as Indicators of Collective Destiny"
4) K.N.Rao:
"Glimmer of Hope in a Strife-torn World -- an astrological view"
5) Gayatri Devi Vasudev:
"Is 2012 A Tsunami Year for India?"
6) Sunil John:
"Bhrigu Sarala Paddhati & India"
-----------------------
Sunday, 3rd October 2010
-----------------------
1) Satguru Sri K.Sivananda Murty:
"Our Future -- Projections, Prophesies and Predictions"
2) Daya Shanker:
"Mundane Astrology & Jyotirved"
3) Sher Singh Gola:
"How to Interpret the Meteorology Chart"
4) Shankar Hegde:
"Karmadhikara or Funeral like Situation in a Country"
5) Madhura Krishna Murthy Sastry:
"Mundane Predictions and Brihat Samhita"
6) Deepak Bisaria:
"The Rise and Fall of the Great Powers -- who will win the race of the next decades?"
7) Prof CVB Subrahmanyam:
"Apprehensions of the year 2012"
8) GP Rao:
"Our Tomorrow -- Predictions for Mankind"
9) GV Ramana:
"Our Tomorrow -- Future of Mankind"
10) KV Krishna Murthy:
"Mundane Astrology and Adbhutasagara"
-----------------------
MOnday, 4th October 2010
-----------------------
1) Sagi Kamalakara Sarma:
"Need to New Research in Mundane Astrology"
2) Prof VVS Sarma:
"Predictions for our Future -- An Interdisciplinary Systems Approach"
3) Prof VLS Bhimasankaram:
""Plate Techtonics and Earthquake Hazards"
※)シヴァナンダ・ムールティージは外国ではあまり知られていない。
しかし、アーンドラプラデッシュ州では最も有名で最も人気の高いヨーギーのひとりだ。
熱心な信奉者のなかには、アーンドラプラデッシュ州知事をはじめ、大物政治家、大学教授、会社社長など、社会的に影響力のある人が多く含まれている。
そして今回の会議の運営に携わったスタッフの中には、定年退官した大学教授も多くいたし、インド政府の中央官庁で順調に出世コースを進んでいた元高級官僚もいたと聞いた。
会議は、アーンドラプ・ラデッシュ大学での構内で開催された。
このように、社会をリードする立場にある人たちが、占星術の会議を主催・運営し、講演に熱心に耳を傾けるというのは、まさにインドならではのはなしである。
シヴァナンダ・ムールティージに関しては、Shr.K.N.ラオは次のように述べている(めんどうなので訳さないが‥)。
"Therefore, sometimes the prediction comes in a flash of intuition. A formal analysis-synthesis exercise is done later only to confirm the intuitive prediction. Patanjali's Yoga Sutras[28] tell us that there exists a Jyotishmati Nadi (or a predictive intuitive channel) within us, which when activated one can see past, present and future. Here one needs no horoscope or knowledge of astrology. I know of a person – Sivananda Murthy in Hyderabad. He did a lot of astrology in his youth. At present, he can tell you something about your future without a horoscope. Among the persons known to me, he is the only one alive with a fully activated Nadi (or channel) of this type.
インド側の出席者のなかにもジェームズ・ケラハーらの知人が多かった。
ACVAの影響は、欧米のみならず、インド国内においても広範に及んでいることを知った。
しかし、この会議を主催したのは、あるヨーギーだった。
サットグル・シヴァナンダ・ムールティージ(写真)(Sadguru Sivananda Murthy)というヨーギーだった。
グルジ(以下、シヴァナンダ・ムールティージをグルジと呼ぶ)がジェームズ・ケラハーの助言と支援を得て、この会議を開催したのだった。

プレゼンをしたのはShr.K.N.ラオを含む19名の占星術家と3名の高名な科学者だった。
しかし、会議の聴衆者のほとんどは、グルジの信奉者だった。
世界中からインド占星術家を一同に集めて近未来について彼らの意見を聞きてみよう。
どうやらそれが、グルジがこの会議を開催した趣旨のようだった。
Shr.K.N.ラオによれば、グルジは若いときに集中的に占星術を実践していた。
その結果、ジョーテイシュのナーディー(経絡)が開いてホロスコープを見なくても未来について語ることができるようになったそうだ。
では、そのグルジがなぜこのタイミングでこのような会議を招集したのか?
近未来についてなにか気になるヴィジョンを見ていて、それについて名のある占星術家の意見を聞いてみたい。
そう思ったのではないだろうか。
実際、開会式でグルジは次のように述べていた。
「ヨーギーですら間違えた方向に人々を導くことが少なくない」
(More often than not even a yogi can be misleading)
「ヨーギーが見るヴィジョンには時間が示されていない」
(His vision has no time stamp on it)
他でもないヨーギーがそういうんだから、実際にそうなんだろう。
で、果たしてその目的は達成されたのだろうか?
結論からいえば、ある程度グルジはこの会議で手応えを得ることができたのではないだろうか。
しかし、バーラティーヤ・ヴィディヤー・バワンから私たちが参加していなければ、その目的からほど遠い結果に終わっていただろうとも思った。
それほど、とくに欧米からの参加者のプレゼンは肩すかしだった。
細かいことは書かないが、欧米の占星術家のプレゼンは、ほとんどがトランジットのはなしに終始していた。
ダシャーに言及した発表は皆無だった。
マンデーンでも個人のホロスコープでも、ダシャーがトランジットに優先するのは基本中の基本だというのに‥。
長年の研究成果というよりも、「思いつき」を膨らませたような発表が多かった。
それが、私が受けた印象だった。
それに対してShr.K.N.ラオのプレゼンは、手前味噌を承知の上で書くのだが、システマチックで、網羅的で、重層的で、しかも啓示的だった。
ふだんからリサーチを継続的にやっている場合とそうでない場合の違いは、やはりこういうところではっきりと現れてしまう。
Shr.K.N.ラオの講演は:
・まず世界の破局(とくにマヤ暦)を否定し、
・戦争とテロリズムを定義し、
・マハーバーラターなどの古典に示されている戦争のヒントを引用し、
・それらから導き出されたパラメーターを実例とともに紹介し、
・戦争を起こす国のホロスコープとダシャーに見られる特徴を示し、
・戦争を仕掛け/仕掛けられるリーダーのダシャーの共通点を示し、
・主要各国の近未来予測をかんたんに披露し、
・2030年に起こる大きな戦争について可能性を指摘し、
・その後インドが果たす役割とその根拠について論じた。
発表は、与えられた1時間をはるかにオーバーしていた。
途中、司会者はShr.K.N.ラオの講演を遮(さえぎ)ろうとした。
だが、グルジはそれを制し、Shr.K.N.ラオに講演を続けさせた。
結論は、2030年にむかえる大きな戦争だ。
それまでに、世界は多くの戦争とテロを経験する。
しかし極めつけは2025年くらいから始まる大国間の衝突だ。
その大戦争を経て、世界は競争から共存・共栄の道を歩み始める。
インドは、世界の精神性をリードしていく。
その根拠は、詳しくは述べられなかったが、プラーナ文献、ホロスコープ、ダシャー、そしてトランジットに求められた。
講演時間は1時間45分にもなっていた。
Shr.K.N.ラオが講演を終えたとき、聴衆はスタンディング・オベーションで讃えていた。

壇上から降りようとするShr.K.N.ラオをスタンディング・オベーションで迎える聴衆
(Shr.K.N.ラオは写っていません)
講演のスライドを作成した私は、壇上でShr.K.N.ラオの横に座って補佐をしていた。
会場全体から興奮と感動と熱気が伝わってくるのをひしひしと感じていた。
公演後、握手を求めて聴衆がShr.K.N.ラオに詰め寄っていた。
もともとShr.K.N.ラオは、体調の不良を理由にこの会議への招待を再三断っていた。
しかし、グルジからのたっての願いということもあって、最後の最後になって参加することになった。
私に声がかかったのは、2週間前だった。
私は1週間前に原稿を手渡され、スライドを作り始めた。
しかしスライドは、その後に何度も修正が施され、発表当日の朝になっても修正をした。
Shr.K.N.ラオがこの講演のために何日も徹夜をしたのはすでに他のエントリで書いたとおり。
すべて入念に準備された結果である。
この会議の特徴と意義は、次の通りである。
① ヨーギーが主催した会議である。
② ACVAの主要メンバーとShr.K.N.ラオが約14年ぶりに再会を果たした。
③ ACVAが会議のイニシアチブを握っていた。
④ しかし、Shr.K.N.ラオの講演が会議全体のトーンを支配した。
⑤ 自然科学者がこの種の会議に始めて参加した。
② ACVAの主要メンバーとShr.K.N.ラオとの再会というのは、大きな出来事だった。
ACVAの主要メンバーというのは、ジェームズ・ケラハー、デビッド・フローリー、エディス・ハーサウエイたちである。
Shr.K.N.ラオが1996年にACVAとの関係を絶って以来の再会である。
Shr.K.N.ラオは初日から食事などで彼らと顔を合わせるたびに積極的に声を掛けていた。
しかし彼らは、初めはShr.K.N.ラオを意図的に避けていた。
しかし、段々とShr.K.N.ラオのはなしに彼らは耳を傾けるようになっていった。
だが、邂逅(かいこう)といえるところまで関係が修復されることはなかった。
それでも、断絶の壁は取り除かれていった。
デビット・フローリーは、近々Shr.K.N.ラオの家を訪れるとまで約束した。
エディス・ハーサウエイやコミラ・サットンは、Shr.K.N.ラオに助言を求めるようにまでなっていた。
しかし、最後までShr.K.N.ラオとの距離が縮まらなかったヴェーダ占星術家もいた。
⑤ 自然科学者がこの種の会議に参加したというのは聞いたことがない。
日本ではあり得ないことだが、インドでも初めてだそうだ。
インドが今後世界の精神性をリードするというのは、こういうところからもうかがうことができる。
いずれにせよ、これはグルジの徳ゆえに可能となったことだろう。
あと、会議は超過密スケジュールで行われた。
講演は、連日朝8:30から夕方の6時頃まで続いた。
夜は夜で、音楽の演奏やら会食会があった。
しかし、驚いたことに、グルジとShr.K.N.ラオは、そのすべてに参加していた。
会議でも、二人は一度も眠ることなくすべての講演に耳を傾けていた。
どこかの国の総理大臣とは大違いである。
二人とも80歳を目前とした「後期高齢者」である。
しかも、Shr.K.N.ラオは歩行もままならない身だ。
今回、会場で一度転んで両膝を強く打っていた。
目は一年以上前からまぶたがきれいに開かない。
だからShr.K.N.ラオは指で片眼をこじ開けながら、上映されるスライドを見ていた。
これを見て、私はまったく恐れ入ってしまった。
なんてすごい人たちなんだろう。
心の強さが、身体の不自由がもたらす限界を完全に凌駕していた。
もともとヨーガには、心と身体を結びつける(ヨーグ)という意味がある。
それは、身体を心の支配下におくということなのだが、Shr.K.N.ラオはそれをこなしていた。
このように、この会議への参加を通して、私自身いろいろなことを経験し、理解することができた。
まず、インド内外の高名な占星術家とも会うことができた。
そして、彼らのプレゼンを見ることができた。
その結果、バーラティーヤ・ヴィディヤー・バワンで行われている占星術の教育と研究の水準が、世界を見渡しても他の追随を許さないほど圧倒的な高さを誇っていることを再確認することができた。
それを確認できたことは、今後の自分にとっていい結果をもたらすだろうと思った。

左から(敬称略):グルジ、ガヤトリデーヴィ(BVラーマンの娘)、デビッド・フローリー、K.N.ラオ
最後に、国際会議の主要プログラムを紹介しておこう。
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Friday, 1st October 2010
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1) David Frawley:
"Yugas, the precessional degree and its conjunction with fixed stars in Yuga interpretation"
2) James Kelleher:
"Rahu-Saturn Conjunctions"
3) Edith Hathaway:
"Corporate Conglomerates vs Nation States: Which Nations will Survive and Thrive?"
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Saturday, 2nd October 2010
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1) Shambhanvi Chopra:
"Kali as the Yuga Sakti, The Power to Create a New World -- Age."
2) Komilla Sutton:
"Mars-Ketu Conjunctions"
3) Rafael Gil Brand:
"Equinoctial and SSolsticial Points as Indicators of Collective Destiny"
4) K.N.Rao:
"Glimmer of Hope in a Strife-torn World -- an astrological view"
5) Gayatri Devi Vasudev:
"Is 2012 A Tsunami Year for India?"
6) Sunil John:
"Bhrigu Sarala Paddhati & India"
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Sunday, 3rd October 2010
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1) Satguru Sri K.Sivananda Murty:
"Our Future -- Projections, Prophesies and Predictions"
2) Daya Shanker:
"Mundane Astrology & Jyotirved"
3) Sher Singh Gola:
"How to Interpret the Meteorology Chart"
4) Shankar Hegde:
"Karmadhikara or Funeral like Situation in a Country"
5) Madhura Krishna Murthy Sastry:
"Mundane Predictions and Brihat Samhita"
6) Deepak Bisaria:
"The Rise and Fall of the Great Powers -- who will win the race of the next decades?"
7) Prof CVB Subrahmanyam:
"Apprehensions of the year 2012"
8) GP Rao:
"Our Tomorrow -- Predictions for Mankind"
9) GV Ramana:
"Our Tomorrow -- Future of Mankind"
10) KV Krishna Murthy:
"Mundane Astrology and Adbhutasagara"
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MOnday, 4th October 2010
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1) Sagi Kamalakara Sarma:
"Need to New Research in Mundane Astrology"
2) Prof VVS Sarma:
"Predictions for our Future -- An Interdisciplinary Systems Approach"
3) Prof VLS Bhimasankaram:
""Plate Techtonics and Earthquake Hazards"
※)シヴァナンダ・ムールティージは外国ではあまり知られていない。
しかし、アーンドラプラデッシュ州では最も有名で最も人気の高いヨーギーのひとりだ。
熱心な信奉者のなかには、アーンドラプラデッシュ州知事をはじめ、大物政治家、大学教授、会社社長など、社会的に影響力のある人が多く含まれている。
そして今回の会議の運営に携わったスタッフの中には、定年退官した大学教授も多くいたし、インド政府の中央官庁で順調に出世コースを進んでいた元高級官僚もいたと聞いた。
会議は、アーンドラプ・ラデッシュ大学での構内で開催された。
このように、社会をリードする立場にある人たちが、占星術の会議を主催・運営し、講演に熱心に耳を傾けるというのは、まさにインドならではのはなしである。
シヴァナンダ・ムールティージに関しては、Shr.K.N.ラオは次のように述べている(めんどうなので訳さないが‥)。
"Therefore, sometimes the prediction comes in a flash of intuition. A formal analysis-synthesis exercise is done later only to confirm the intuitive prediction. Patanjali's Yoga Sutras[28] tell us that there exists a Jyotishmati Nadi (or a predictive intuitive channel) within us, which when activated one can see past, present and future. Here one needs no horoscope or knowledge of astrology. I know of a person – Sivananda Murthy in Hyderabad. He did a lot of astrology in his youth. At present, he can tell you something about your future without a horoscope. Among the persons known to me, he is the only one alive with a fully activated Nadi (or channel) of this type.