インド占星術心得─12箇条

デリーで清水が書いています。

バーラティーヤ・ヴィディヤー・バワンで常識とされていることのなかに、日本ではあまり知られていないが有益であろうことがすくなくない。

とくに占星術の記事を書いたりリサーチを行っている人に役立つであろういくつかのポイントがある。
これは、インド占星術の記事や本を読んで学習に役立てたいと思っている人にとっても役立つ視点である。
 
Shr.K.N.ラオの論文の一部から引用・翻訳して紹介する。
 
第一条:

ホロスコープが疑わしいときは、ジャイミニ・チャラ・ダシャーを使ってまずラグナ(アセンダント)を特定せよ。その際、教育、結婚、子供、仕事など、疑義の挟みようのない事実を用いて検証すること。そしてラグナが確定してから、ヴィムショッタリ・ダシャーを用いてラグナの経度(度数)を決めよ。その際、分割図も用いるべし。これは決して容易な作業ではない。もし使えるコンディショナル・ダシャーがあるなら、それも用いよ。

第二条:

ホロスコープを受け入れる前にできるだけ過去の出来事に関する情報を収集し、検証せよ。その際、覆しようのないバイオ・ファクト(生物学的な客観事実)にもとづいて検証をせよ(外見やパーソナリティは主観であるし、時期が曖昧な出来事はほとんど検証の役に立たない)。既往事実の検証がうまくいっても、使用したパラメーターをできるだけ多くのホロスコープにあてはめ、その有効性を検証することを忘れてはいけない。

第三条:

すぐに結果がわかるような短期的なプレディクションを行い、ホロスコープが正しいかどうかを検証せよ。プレディクションの大半が的中したら、同じ人物について異なるホロスコープを採用している他の占星術家からのクレームに振り回される必要はない。

第四条:

サンスクリットの引用に忙しいパンディット(僧侶・学者)の意見は気にしなくてよい。インターネットや占星術雑誌は彼らが並べ立てるサンスクリットのシュローカ(詩節)であふれている。

第五条:

それでも、ホロスコープが間違っているために結果が得られないことがある。そのときは素直にその事実を受け入れよ。そうでなければ、本人の名誉を損なうだけでなく、占星術を害する結果にもなる。嘘つきになってはいけない。私(Shr.K.N.ラオ)はプレディクションをはずしたら素直に非を認め、はずした理由についても述べることにしている。

第六条:

リサーチの過程で大きな発見をすることがある。そういうときは、できるだけ多くのホロスコープでそれが使えるかどうかを検証せよ。検証には、最低でも25のホロスコープを用いよ。しかし、そこで止めてはいけない。次にその発見をプレディクションに用い、実際に的中するかどうかを検証せよ。そうしてからようやく広くプレディクションで用いたり、論文などで公表できるようになる。

第七条:

本や雑誌には様々な知識やテクニックについて書かれてある。著者のなかには、疑わしいホロスコープをいっさい使わない誠実な人もいれば、そういったことにいっさい意を用いない不誠実な人もいる。そういう不誠実な人が書いた記事や本を読むのは時間の無駄である。

第八条:

きちんと検証されたテクニックを用いて記事を書いている人もいれば、そうでない人もいる。占星術の世界は強欲な人たち(占星術を商売のネタとしてしかみていない人たち)であふれている。そういう人たちは、たとえ占星術の発展に貢献する振りをしていても、そういうつもりは毛頭無い。

第九条:

ホロスコープを看る時は必ず二つ以上のダシャーを用いよ。しかし、簡単のために、あるいは見通しをよくするために、ひとつのダシャーだけを使って記事を書くことはかまわない。

第十条:

記事を書き終えたら必ず推敲せよ。思考の流れは往々にして目や手の動きよりも速く、それゆえに無意識のうちに誤ったことを書いてしまうことがある。そういう私(Shr.K.N.ラオ)は、推敲が苦手である。

第十一条:

ダシャーを用いたリサーチで不確実な出来事(たとえば首相になった時期があいまい)を用いてはいけない。もし用いたのなら、その結果は無効である。だれにも覆しようのない事実、たとえば、兄弟姉妹の誕生、教育の専攻科目、両親にまつわる出来事、キャリア・パターン(浮沈)、結婚の時期、子供の誕生などにもとづいて検証すべし。リサーチと名乗るものの大半は、1~2件の出来事だけで検証しているし、その出来事に関する情報の真偽でさえ疑わしい。

第十二条:

何について書き、何について書かないかは、悩ましい問題である。寿命や性犯罪に関する要因は、鑑定の場面でも著書においても開示すべきでないとするのが、往年の誠実な占星術家の一致した見解である。


以上が、私(Shr.K.N.ラオ)が厳格に守っている原則です。バーラティーヤ・ヴィディヤー・バワンの教官もこのような原則に沿って執筆活動やリサーチに取り組んでいる。
S.Shimizu
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